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空のオクリモノ
2008年07月15日(Tue)
【小説<doll>】
君はどこまで僕と踊ってくれるのだろうか。

僕は君とどこまで踊り続けれるのだろうか。

まだ時間はある

しかし時間は無い

さぁ踊り続けよう

僕の足が動き続けるまで

僕の音楽が鳴り終わるまで

僕の目が閉じるまで



第一章 



僕が君とであったのは何処だったか分からないくらい時間はたったね。

初めて会ったとき君は僕を警戒しているようだったけどすぐに打ち解けられた。

でも僕には分かる君は隠している

何かを隠してる

それはとても青く

それはとても静か

それはとても暗い

まるで森の中にある湖の底にあるみたいで

静かに眠っているようで起こしてはいけない

起こしたらきっと

君は君でいられなくなってしまうから

僕は君のソレを長い年月をかけて取り除こうと思ったよ。



それから君は口が不自由だったね

言葉はある

しかし声が出てこない

のどまで来ているのに出て行かない

出て行ったかと思えばまだ残っている

口が不自由なのか

のどが不自由なのか

それとも

ただ臆病なのか

それとも

声がでない仕組みなのか

僕は今は分かるけど前は分からなかった。

今は色々な事が分かる

僕は何でも知っている

ソレも



第二章



君は僕に話しかけてきたとき蟻だった

二度目も蟻

次は鈴虫

次は蟋蟀

次は蝉

次は人だった


何度も何度も話しかけてくるうちにどんどん進化を遂げた



それは君の努力だ

君のチカラだ

僕は口を動かしてない

心の声でもない

僕はしっかりとこの鋭く長い耳で聞き取った

君の声を

少し僕と似ていたね

最初はびっくりしたけれど

段々慣れたよ

今では普通だ

君も僕も



第三章



僕はいつからこんなに足が動かなくなったんだろうか

重い体を動かしてきた

「優」を目指して速く長く動かした

それは馬のようだったよ

踏ん張りその丸を籠に入れるために飛んだ

それは鷹のようだった

足はがんばったよ

僕の欲望のために

がんばったよ

君は僕のために

僕は僕のために

欲張りだったね

僕は

あぁそろそろ限界らしい

体の節がキーキーと音を鳴らしている

まるでヴァイオリンを奏でているみたいだ

ヴァイオリンよりももっと深く骨と骨が摺りあうように

僕は君をずっとそばに

起きた時君が一番最初に目が合うね

寝るときは一番最後だ





第四章



舞踏会に呼ばれたんだね

ダンスの練習会

僕も踊れたらいいのに



僕が踊れる?

それは無理だよ





車椅子

これで踊れるのかい?



君と?



僕は君と踊れるならなんだっていい

毎晩舞踏会のために踊ったね

君に負けないように僕もおどったよ





さぁ舞踏会だ

いっぱい踊っておいで

僕はここで見ている

ちゃんと



あぁ



ああ


なんて




なんて!




綺麗なんだ!



なんて!


華やかなんだ!


おとぎ話一ページ

君は主役だ!





第五章



そろそろ時間だね



音楽が小さくなってきたよ


まるで

最初の君の声のようだ


少し眠いな


今日は少し早く寝るよ

必ず

また

目を覚ますから



僕は最後まで君のそれを取り除くことはできなかった


ごめんね

でも

あの舞踏会

君はうれしそうに

踊っていた

練習の時もそうだった

最初はそんなことできなかったね

君のソレは取り除くことはできなかった

けど

君のソレは薄めることはできたはずだよ

だって

あんなにうれしそうに笑ったから

あの舞踏会で

わかったよ

君は動くことのできなかった人形

ぼくが命を

心をあげた

君は

立派な

人型だ

君は

胸を張って生きていけるはずだ

人型として

そろそろ演奏が終わる

もう何小節もない

最後にもう一度笑ってくれないか



ありがとう



僕の演奏は指揮者手によって止められた



僕の音楽は鳴り終わった


end

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